ディーラーコーティングは実際どうなのか?コーティング専門店の違いをプロが解説

新車をディーラーで購入するときに、ボディコーティングを勧められることがあります。せっかくの新車なので愛車を傷から守りたい、と思う方も多いかもしれません。

しかし、コーティングには種類がいくつかあり、ディーラー以外にもコーティングを専門にしているお店もあります。複数の選択肢があるため何を基準にしてコーティングを選べばいいのか、どこで施工してもらうのがいいのか迷ってしまうかもしれません。

この記事では、そのような悩みを解決するための解説をしています。ぜひ参考にしてみてください。

目次

ディーラーコーティングの実情

ディーラーでカーコーティングを依頼した場合、施工を担当するのは営業マンか整備士の方、コーティング、洗車専門スタッフでその方々はコーティングの熟練者ではありません。

そのため作業に関する技術・知識が不十分で、仕上がりにムラが出ることがあります。

他にも、細かな傷をつけられてしまう、下地処理・乾燥処理が不十分なためにコーティングの耐久性が劣ることがあります。それ以外に、ディーラーが外注に出して施工させていることもあります。

この場合は、仲介料を含んだ価格を請求されるため、費用に対してコーティングのクオリティが伴わない可能性があります。コーティング料金は車のサイズで異なりますが、ディーラーでガラスコーティングを頼んだ場合は5〜10万円が相場です。

一方、専門店で同じ注文をした場合の相場は8万〜15万円程度となっています。

下地処理が甘い場合がある

下地処理をきちんとしたか否かは、コーティング仕上がりの良し悪しに直結します。下地処理が甘いとコーティングの密着性が低下する原因となります。

また、汚れを落とし切らないままコーティング剤を塗布してしまうと車両の美観を損なう要因となります。

一般的な下地処理では下記の工程を行います。

 ・細部の洗浄、全体の洗浄

 ・鉄粉の除去

 ・水垢、油膜の除去

 ・イオンデポジットの除去

 ・洗車傷、スクラッチ傷を落とす

 ・脱脂

先程もお話したようにディーラーの施工者たちはコーティングの熟練者ではありません。

大変恐ろしい例ですが、新車の場合はコーティング剤を塗布するだけで終わらせる、ということがあるようです。高額な価格を請求されたのに、いい加減な方法で完成とされてはせっかくの愛車が最高のポテンシャルが引き出せない場合がございます

多重下請け構造の場合がある

カーディーラーでコーティングを依頼しても、実態は外注に出して施工させていることもあります。

この場合、ディーラーからは高額な請求を要求されますが、実際に外注業者に支払われるのは、そのうちの3割~7割前後ほどになってしまいます。

そうなりますと、外注業者が1台あたりの施工にかけられる作業時間が短縮されたり、低価格な溶剤を使用せざるを得なくなってきます。

さらにひどい場合は、外注先からまた別の外注業者へ依頼していることもあります。

これではいくらお金を払っても手数料として消えていくだけで、期待するような高品質な仕上がりを得ることはできないでしょう。

ディーラーに頼む場合は、自社で施工しているのか確認しておくことが望ましいです。

コーティング剤が低品質な場合がある

ディーラーで施工されるコーティング剤の種類は大きく分けるとガラス系、フッ素、シリコンなどがあります。

ディーラーコーティングで使用されるコーティング剤の品質が低いという噂を聞いたことがあるかもしれません。

このようなうわさが流れる原因としては、「低価格な溶剤を使用せざるを得ない」状況があると思われます。

フッ素樹脂やシリコンを主剤としたコーティング剤は熱や紫外線に対しては強くありません。耐久性は一般的に1年となっています。ガラスコーティング剤に比べて効果が早く薄れるため、低品質なコーティング剤だと言われてしまうのです。

コーティング剤について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

車のコーティングの種類と自分にぴったりの選び方とは?

専門店とディーラーコーティングの違いとは?

専門店とディーラーコーティングでは何が違うのでしょうか?

前項ではコーティングの施工を担当する人物の知識量や技術に対して違いがあると説明しました。

他には価格も変わってきます。ディーラーで頼む場合は価格交渉がしやすいという点があります。車を購入した、または購入する店舗なので値引き交渉へ話を持っていくことが比較的容易です。

それ以外にはどのような違いがあるのか?以下で解説していきます。

下地処理が違う

カーコーティングの仕上がりを左右する工程として、下地処理が挙げられます。下地処理には洗浄、鉄粉の除去、水垢、油膜の除去、イオンデポジット、ウォータースポットの除去、洗車傷の除去、脱脂があるとお話しました。

これらの工程に時間をかけて丁寧に行うのがコーティング専門店です。

洗車傷やスクラッチを落とす磨き工程では、車体についた傷を除去、または目立たなくするために行います。磨けば磨くほど傷は目立たなくできますが、塗装自体が薄くなりすぎてしまいます。その加減を確認しながら作業するには特殊な照明などの器具も必要になってきます。

脱脂は車体表面とコーティング剤の密着を高めるために行う工程です。車体の塗装とコーティング剤の化学的性質は全く異なります。この両者を強固に密着させるには油分を撤退に除去することが必要となってきます。

コーティング剤が違う

ディーラーは車を扱う場所なので知識や設備、道具などもひととおり揃っています。しかし、何かに特化したサービスを提供するわけではありません。そのため高品質なコーティング剤を取り扱っているかどうかわかりません。一方の専門店ではサービスに特化していることが強みです。

例えば同じガラスコーティング用途であっても複数種類のコーティング剤を取りそろえています。プロが個々の車の状態を確認して、ベストなコーティング剤を使い分けてくれます。

誤解してほしくないので一言付け加えさせていただくと、ディーラーが取りそろえているコーティング剤が必ずしも品質が良くない物というわけではありません。専門店並みの物を扱っている場合もあるので、その点は誤解しないでください。

仕上がりが違う

作業者の熟練度やテクニックはコーティングの仕上がりに違いとして現れてきます。下地処理に多くの時間を割いて汚れ、傷を落とし、品質の高いコーティング剤を使用することが良い仕上がりを得るために必要な条件です。しかし、上記だけでは実現できないのも事実です。

なぜかと言いますと、作業に適した環境も必要だからです。コーティングの下地処理で入念に洗浄を行いますが、環境が良くないと再び汚れが付着してしまいます。これではいくら丁寧に洗浄、脱脂してもキリがありません。コーティング剤を塗った後に乾燥させる工程では水分が付着したままにしてしまうとイオンデジポットの原因となってしまいます。やはり雨などによる水濡れを防げる環境が必要です。

他にも、作業空間の温度が一定に保たれているかどうかも要素の一つです。専門店では空調を一定に管理できる作業空間を持っています。温度差がない環境ですと車体とコーティング剤の性質が一定となるため、コーティング剤の密着が安定します。その結果として美しい仕上がりが実現します。

ディーラーコーティングのメリット・デメリット

ディーラーでカーコーティングを依頼するうえでのメリット・デメリットはこちらです。

<メリット>

・車を購入したお店で任せることができるため、自分で業者を探す必要がなくラク

・価格の値引き交渉をしやすい

<デメリット>

・コーティングのプロではないため、キレイに仕上がらないことがある

・コーティングの耐久性が低く、再度施工してもらう場合には出費が嵩む

・きれいにしてもらうはずが、逆に傷を付けられるトラブルが起こることも

ディーラーに依頼すれば自分で業者を選定する手間が無くなります。値引交渉も容易に行えることも魅力です。その反面、コーティングの仕上がり、効果の持続性の面では専門店に比べると劣ります。ラクに安く済ませたい場合はディーラーを利用することもいいでしょう。

コーティング専門店のメリット・デメリット

専門店でカーコーティングを依頼するうえでのメリット・デメリットはこちらです。

<メリット>

・期待通りの美しい仕上がりを得られる

・耐久性が高く、長持ちする

・適切なアドバイスをしてもらえる

・アフターフォローがしっかりしている

<デメリット>

・価格がディーラー施工と比べると高額になる

・自分で業者を探す必要があるので、選定までに時間を要する

費用は高額になりますが、長い目で見たときには専門店に依頼するほうがいいでしょう。仕上がりの満足度と効果の持続性の面で非常に良い選択と言えます。愛車を長く大切に使いたいとお考えの方には専門店がおすすめです。

信頼できる専門店を探したい方は以下の記事を参考にしてみてください

おすすめのガラスコーティング業者・専門点を見極める7つのポイント

まとめ

カーコーティングをディーラーに依頼した場合と専門店に依頼した場合の違いについて解説してきました。価格はディーラーに依頼した場合では、専門店の半分〜1/3程度で収まります。しかし耐久性では専門店の方が長持ちすると言われています。これほどまでに差がつくのは、専門店では下地処理を徹底的に行っているからです。下地処理が不十分なままですと、その上に塗布するコーティング剤がうまく定着しません。ムラが出て見た目も悪くなってしまいます。

カーコーティングは皆さんの愛車を傷や雨から守り、美しい外観を提供してくれます。高い買い物ですから、しっかり検討してみてください。本記事が読者の皆さんのカーライフの参考になれば幸いです。

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