電気に生かされる私たち その8

今日のお話です
どうぞご覧ください

電気に生かされる私たち その8

ガルバーニが「生命は電気で動いている」と発表したその頃
イタリア北部・コモの物理学者
アレッサンドロ・ヴォルタ は
彼の論文を読んで強い違和感を覚えました

「生き物の中に電気があるのではない
金属の組み合わせで電気が生まれているのだ」

ガルバーニの実験を
注意深く分析したヴォルタは
次の点に疑問を抱きます
カエルの脚が動くのは
“異なる金属の組み合わせ” に触れさせた時だけ

金属の種類で反応の強さが変わる

神経より、むしろ金属同士の接触に
反応しているように見える

そこでヴォルタは言い切ります

「電気を生んでいるのは 金属そのもの であり
生命ではない」

ガルバーニは “生体電気” と考え
ヴォルタは “金属電気” と考え
これが 動物電気論 vs 金属電気論 の誕生です

二人は同じ現象を見ていながら
まったく違う結論へ向かったのです
そしてここから電気の歴史で最も激しい論争が
巻き起こります

ヴォルタが行った反論実験
ヴォルタは自らカエルを使って
実験し直し、確かめます

同じ金属同士では脚は動かない

異なる金属を組み合わせた瞬間
必ず反応する

しかも金属の組み合わせを変えると
反応の強さが変わる

ついにヴォルタは確信します

「電気を作っているのは“金属の界面”
生命は電気を生んでいない」

この論争はヨーロッパ中に広まり
学者たちは二つの派閥に分かれます

ガルバーニ派
神経・筋肉が電気を生む(生体電気)

ヴォルタ派
金属の組み合わせで
電気が生まれる(接触電気説)

どちらが正しいのか?
世界中が注目しました

そして、ヴォルタは決定的な証拠をつくる
ガルバーニの理論を覆すために
ヴォルタはついに“あるもの”を組み立てます

世界初の電池「ヴォルタ電堆(1800年)」

ガルバーニのカエルを使わず
“金属と電解質だけ”で
電気が途切れなく流れる装置を
作り上げたのです
銅板
亜鉛板
食塩水または硫酸を含ませた布

これらを積み重ねると
電気が流れ続け
カエルは一切必要なかった

これは完全に“金属電気説”の勝利でした

ですが、ガルバーニも
決して間違ってはいなかったのです
現代の神経科学では
神経細胞が電気信号を発している
心臓も電気で動き
脳も電気で情報伝達している
ことが完全に証明されています

つまりガルバーニは「生体電気」を発見した
ヴォルタは「電池」を発明した
という、両者が電気史の根幹を作ったのです

長々と電池の誕生までを書きましたが
たったの225年前の出来事なのです

地球の歴史から見れば「たったの一瞬」
人類の文明から見ても「つい最近」
そして驚くべきことに
225年前まで、人間は電気を
“ためる”ことすらできなかったのです

火は数十万年前から使えていたの
に電気はここ2〜3世紀で
急激に文明を変えた存在です

出典:参考
Luigi Galvani
De viribus electricitatis in motu musculari commentarius(1791)
生体電気「動物電気論」の原典

最後まで読んでくださって
ありがとうございました

ではまた明日

今日も素晴らしい
1日になりますように

田中健介

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