アメリカは二重体制

今日のお話です
どうぞご覧ください

通常ですと日曜日のメルマガは
先週の作業内容になりますが

読者の皆さまも「ねじの規格」の話に
興味を持っていただいているだろう・・と
勝手ながら私が思い込み
昨日の続きをお届けいたします

そして1960年代に
ISOメートルねじが国際規格化しましたが・・・

アメリカでは完全移行には至りませんでした

その理由はいくつもあります

まず産業の歴史ですアメリカはセラーズねじ(USS)、SAE
ユニファ(UNC/UNF)と自国独自の規格を積み上げてきました

その結果、軍需産業から自動車まで
膨大な既存資産がすべてインチで作られており

イギリスと同様に
「じゃあ明日からメートルで」とはならなかったのです

さらに軍事・航空宇宙分野は非常に保守的で
ボルト1本の互換性が生命線に関わります
MIL規格はいまもインチが基本で
ボーイングやNASAの設計にも
影響しています

MIL規格とは
アメリカ国防総省が定めた
「軍用の標準規格」で
ねじから電子部品、塗料の色、
航空機の通信方式まで幅広く網羅し
互換性・耐久性・長期供給を徹底しています

加えて文化的な側面も大きいです
アメリカでは1975年に
「メートル法転換法」が制定されましたが
強制ではなく自主的導入にとどまりました

自動車産業では
1970年代以降の
欧州や日本市場向けの車種では
ISOメートルねじを採用し
1980年代からは北米生産車でも
「輸出比率が高いモデル」から
順次メートル化が進みました

現在のアメリカ車は
輸出モデルではISOメートルが主流ですが
国内仕様では
今もインチボルトが残っています

結果として現在のアメリカは
一部の国内市場の自動車や建設機械はインチ
輸出用や国際製品はメートルという
「二重体制」で動いています

一方で現在のイギリスは
工業規格としては
完全にメートル化しています

イギリス:完全メートル化
アメリカ:現在でも二重体制

この差の背景には
産業構造の違いがあります
イギリスの産業は
どうしても輸出に頼らざるを得ないため
国際規格のISOメートルねじを採用しました

一方のアメリカは
国内市場だけで十分成り立つため
無理して国際規格に合わせなくても
商売が成立したのです

「たかが、ねじ。されど、ねじ。」
たったひとつの「ねじ」が
ここまで大きな差を生むのはすべての製品に
いったいどれほど多くのねじが
使われているのかを考えれば
納得いただけるのではないでしょうか

そして英国車以上に「ハイブリッド」なのは
もしかすると米国車かもしれませんね

次回は、我が国「日本」はどうだったのか?

最後まで読んでくださって
ありがとうございました

ではまた明日

今日も素晴らしい
1日になりますように

田中健介

お問い合わせ、
作業依頼、本家ブログは↓
https://www.cbp-oyd.net/

バックナンバー
是非ご覧ください。
https://www.cbp-oyd.net/back-number.site/

登録解除は↓
https://t.bme.jp/bm/p/f/tf.php?id=cbpoyd&task=cancel

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次